【50代・60代】売れない・使わない親の土地、国に引き取ってもらえる?今さら聞けない「相続土地国庫帰属制度」|負担金は1筆20万円から

相続土地国庫帰属制度 アイキャッチ

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こんにちは。FP2級を持ち、59歳で宅建に合格した kyoko です。

「親から相続した土地、使う予定もないし、売れそうにもない…」
「遠くの土地の草刈りに通うのが、だんだんつらくなってきた」
「いらない土地を、国に引き取ってもらえるって聞いたけど、本当?」

こんなふうに思ったことはありませんか。

そもそも「相続土地国庫帰属制度(そうぞく とち こっこ きぞく せいど)」ってなに?

このブログは、そんな「今さら人に聞けない」を、いっしょに確かめる場所です。

この記事では、この制度を「そもそも何?」から、使える人・使えない土地、かかる費用、申請の流れまで、法務省の資料をもとに、やさしくお話しします。

目次

【2026年11月時点】この記事を読んでほしい人

  • 親から相続した土地を、使う予定も、売る予定もない人
  • 遠くにある土地の、草刈りや管理に困っている人
  • これから実家や土地を相続しそうで、そのあとが心配な人

ひとつでもあてはまる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事を読んでほしい人のチェックリスト

ひとつでもあてはまれば、この制度を知っておきましょう。

そもそも、相続土地国庫帰属制度ってなに?

相続した土地を、国に引き取ってもらう制度

相続土地国庫帰属制度は、相続などで土地を取得した人が、法務大臣に申請して、条件を満たせば、その土地を国に引き取ってもらえる制度です。
「国庫に帰属する」とは、かんたんにいうと「国のものになる」という意味です。

この制度は、2023年(令和5年)4月27日に始まりました。

なぜ、できたの?

法務省のパンフレットでは、次のように説明されています。

  • 土地を相続したものの、手放したいと考える人が増えている
  • 望まずに土地を相続した人の負担感が増し、土地の管理が行き届かなくなっている
  • そこで、所有者が分からない土地が生まれるのを防ぐために、この制度がつくられた
相続土地国庫帰属制度のしくみ

条件を満たせば、相続した土地を国に引き取ってもらえます。

使える人・使えない人

使えるのは「相続」で土地を取得した人

この制度を使えるのは、相続、または相続人への遺贈(いぞう:遺言で財産をゆずること)で、土地を取得した人です。

  • 制度が始まる前に相続した土地も、対象です。法務省は「数十年前に相続した土地も対象」と説明しています
  • 売買など、相続以外で取得した土地は、基本的に使えません

共有の土地は「全員で」申請

兄弟姉妹などと共有で相続した土地は、共有している人全員で申請すれば使えます。
法務省のQ&Aでは、共有者のうち1人でも反対すると、申請できないとされています。

申請できない土地・承認されない土地

この制度は、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。
法律で、「そもそも申請できない土地(却下)」と、「審査で承認されない土地(不承認)」が決められています。

そもそも申請できない土地(5つ)

  1. 建物がある土地
  2. 担保権(抵当権など)や、ほかの人が使う権利が設定されている土地
  3. 通路など、ほかの人が使う予定がある土地
  4. 土壌汚染されている土地
  5. 境界(となりの土地との境目)がはっきりしない土地や、持ち主や範囲について争いがある土地

審査で承認されない土地(5つ)

  1. 一定の勾配・高さのがけがあって、管理にたいへんな費用や手間がかかる土地
  2. 管理のじゃまになる物(工作物・車・樹木など)が、地上にある土地
  3. 取り除かないといけない物が、地下にある土地
  4. となりの土地の持ち主などと、裁判などで争わないと管理できない土地
  5. そのほか、ふつうに管理するのに、たいへんな費用や手間がかかる土地
申請できない土地と承認されない土地

申請できない土地が5つ、承認されない土地が5つ決められています。

実家の土地は「家を壊してから」

実家を相続した人に、とくに知っておいてほしいのが、1つ目の「建物がある土地」です。

法務省のQ&Aでは、今、建物がある土地は申請できないとされています。登記されていない建物でも同じです。
原則として、建物を取り壊してから申請することになります。

つまり、家が建ったままの実家は、そのままでは国に引き取ってもらえません。

実家の空き家をどうするか考えるときは、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

家を取り壊すときの見積もりは、解体業者を紹介してくれるサービスで頼むこともできます(広告)。

費用はいくら?「審査手数料」と「負担金」

この制度を使うには、2つのお金がかかります。

① 審査手数料:1筆14,000円

申請するときに、審査手数料を払います。

  • 金額は、土地1筆(いっぴつ)あたり14,000円です
  • 申請書に収入印紙をはって払います
  • となり合った土地をまとめて申請しても、合算はできません(2筆なら28,000円)
  • 申請を取り下げたときや、却下・不承認になったときも、返ってきません

「筆(ひつ)」は、土地を数えるときの単位です。登記簿(土地の記録)では、1筆ごとに1つの土地として記録されています。

② 負担金:1筆20万円が基準

審査で承認されたら、負担金を払います。

負担金は、その土地を国が管理する10年分の費用にあたるお金です。払うのは、承認されたときの1回だけです。

金額は、1筆20万円が基準です。
ただし、次のような土地は、面積に応じて20万円より高くなります。

土地の種類負担金
宅地原則20万円(面積にかかわらない)
ただし、市街化区域・用途地域の中の宅地は、面積に応じて計算
田・畑(農用地)原則20万円(面積にかかわらない)
ただし、市街化区域・用途地域の中の農地などは、面積に応じて計算
森林面積に応じて計算
そのほか(雑種地・原野など)20万円(面積にかかわらない)

面積に応じて計算する場合の例は、次のとおりです(法務省のパンフレットの例)。

市街化区域・用途地域の中の宅地負担金
50㎡411,000円
100㎡548,000円
200㎡793,000円
400㎡1,243,000円
森林負担金
750㎡254,000円
1,500㎡273,000円
3,000㎡299,000円

自分の土地が「市街化区域」や「用途地域」にあたるかは、土地のある市区町村のホームページなどで確かめられます。
法務省のホームページには、負担金の自動計算シートものっています。

審査手数料と負担金

審査手数料(1筆14,000円)と負担金(1筆20万円が基準)の2つがかかります。

となり合った土地は、まとめて計算できる

となり合った2筆以上の土地で、同じ種類の土地なら、申し出をすると、1つの土地として負担金を計算してもらえます。

負担金は30日以内に。払わないと承認が取り消しに

  • 負担金は、通知が届いた日の翌日から30日以内に、銀行などで払います(法務局の窓口では払えません)
  • 期限までに払わないと、承認の効力がなくなります。もう一度使いたいときは、最初から申請し直しです
  • 負担金を払った時点で、土地は国のものになります

申請の流れ(4ステップ)

ステップ1:法務局に相談する(予約制)

  • 相談は予約制です(法務局手続案内予約サービス)
  • 1人1日1回、30分以内です
  • 土地のある都道府県の、法務局・地方法務局の本局に相談します(遠くて難しい場合は、近くの法務局でも相談できます)

ステップ2:申請書を出す

  • 出す先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局(不動産登記部門)です。支局・出張所では受け付けていません
  • 窓口か郵送で出します。インターネットやメールでは出せません
  • 申請書づくりを、お金を払って頼めるのは、弁護士・司法書士・行政書士だけです
  • 境界がはっきりしないときは、土地家屋調査士に相談するよう案内されています

ステップ3:審査を待つ(8か月ほど)

  • 法務局の職員が、現地を調べに来ることもあります
  • 審査にかかる期間は、8か月ほどとされています(もっとかかる場合もあります)

ステップ4:承認されたら、負担金を払う

  • 承認されると、負担金の通知が届きます
  • 30日以内に払うと、土地が国のものになります
申請の流れ4ステップ

相談 → 申請 → 審査(8か月ほど)→ 負担金を払って完了。

数字で見る:実際にどれくらい使われている?

法務省が公表している統計(2026年9月30日時点の速報値)では、次のようになっています。

件数
申請6,125件
国に引き取られた(帰属)3,231件
却下(申請できない土地だった など)86件
不承認103件
取り下げ1,162件

申請の内訳は、田・畑が2,372件、宅地が2,135件、山林が928件、そのほかが690件です。

取り下げ1,162件のうち、595件は「有効に使える見込みが出てきた」という理由です。法務省は、例として次のようなものをあげています。

  • 自治体や国の機関が、使うことになった
  • となりの土地の持ち主が、引き受けると申し出た
  • 農業委員会の調整で、農地として使われる見込みになった

却下でいちばん多い理由は「添付書類の不足」(37件)、不承認でいちばん多い理由は「地上に工作物・車・樹木などがある」(49件)でした。

相続土地国庫帰属制度の統計

2026年9月末までに、3,231件の土地が国に引き取られています(速報値)。

まず確かめたい3つのこと

「うちの土地はどうだろう?」と思ったら、まずは次の3つを確かめてみてください。

  1. 建物がないか(家や小屋が建っていると、申請できないことがあります)
  2. 境界がはっきりしているか(となりの土地との境目が分かるか)
  3. 共有している人全員が、賛成しているか

そのうえで、土地のある都道府県の法務局(本局)に、相談の予約をしてみましょう。

まず確かめる3つのこと

建物・境界・共有者の3つを確かめてから、法務局に相談しましょう。

なお、親から土地を相続したら、相続登記(名義を自分に変える手続き)も忘れずに。2024年4月から義務になっています。
→ 親の家・土地がある人は必見!相続登記の義務化とは?

まとめ

相続土地国庫帰属制度で大事なことは、次のとおりです。

  • 相続などで取得した土地を、条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度(2023年4月27日から)
  • 制度が始まる前に相続した土地も対象。共有の土地は全員で申請
  • 建物がある土地は申請できない。実家は、原則として家を壊してから
  • 費用は、審査手数料1筆14,000円(返ってこない)と、負担金1筆20万円が基準(市街地の宅地や森林などは面積で計算)
  • 審査は8か月ほど。負担金を払った時点で、国のものに
  • 取り下げの中には、となりの人が引き受けてくれたなどの例も

「売れない」「使わない」親の土地に悩んでいる方は、まずは法務局に相談するところから始めてみてくださいね。

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